高齢者が身辺整理をせずに亡くなって、通帳やクレジットカード、家の権利書などがどこにあるかわからずに、探すのに苦労したという話をよく聞く。認知症を発症にリスクもある。
両親や自分が高齢になるに従って、身辺整理の心配である。頭がしっかりしているうちに少しづつ身辺整理をした方がよいだろう。また、高齢者に限らず、不意の事故で亡くなる場合も、予想されます。
銀行口座の整理
- 休眠口座とならないように、使っていない口座の解約、口座の統合をする。
- 預金口座をリストアップして明確にしておきましょう。
- ネット銀行のログイン名、パスワードのリストアップをする。
- 銀行口座のリスト関係を身内のだれか一人にわかるように申し送る。
2018年1月に「休眠預金等活用法」が施行されました。2009年1月1日以降で、10年間お金の動きのない口座は、休眠口座とされます。(お金の動きとは、引き出し、預け入れ、振り替え、通帳記入など)休眠口座は、預金保険機構に移管され、公益活動の費用となってしまいます。
クレジットカードの整理
使っていないカードは、解約しましょう。年会費が無駄になります。また、防犯上、使っていないカードが盗まれても、気がつくのが遅れる可能性があります。
ある程度の年齢になったら、1〜2枚のカードを残して解約して置いた方が良いでしょう。注意点をしては、シニア世代は、新たなカードを作るのが難しくなりますので、よく考えてから、解約をしてください。
亡くなった後、解約するのは、家族です、負担をかけないよう、クレジットカードも何があるかリスト化しておきましょう。
重要書類の整理
通帳、保険証、権利書、保険証券は、普通は、目につかない場所にしまわれています。家族のみんなが知っているということはないでしょう。
これら書類関係は、1箇所にまとめておくことと、期限切れの書類は、廃却しておくことで、残った家族の負担を減らしましょう。
借金の片付け
借金をそのままにして、亡くなった場合には、相続人となった子どもに債権者が現れるということがよくあります。相続人にマイナスの財産を引き継がさないように、借金の有無をはっきりさせておくことが必要です。相続人は、3ヶ月しか判断の猶予がありません。マイナスの財産を調べているうちに、時間切れになることは、避けなければなりません。
存命中に借金を返済できないことが分かった時点で、自己破産などの手続きをとって方がよい場合もあります。
認知症対策
認知症から資産を守る方法として、「成年後見制度」、「民事信託制度」があります。頭の隅にいれておくのもよいでしょう。
成年後見制度
認知症等で判断能力が不十分となった時に、当人が不利益とならないように、法的にその人を援助する人=後見人を決めておく制度のこと。成年後見制度は、2種類あります。
法定後見人 | 任意後見人 | |
申立人 | 本人・配偶者・4等親内親族・検察官など | 本人 |
対象者 | 判断能力が不十分な人 | 判断能力があるうち |
成年後見人のできること
- 本人の診療・療養介護・福祉サービスなどの利用契約をすること
- 本人の預貯金や不動産などの財産管理
- 年金・福祉手当等の受領に関すること
- 生活に必要な物品の購入、光熱費の支払い
- 重要書類・印鑑・通帳等の保管
成年後見人のできないこと
- 戸籍に関する契約の変更(婚姻・離婚・離縁・養子縁組・認知等)
- 遺言書の作成
- 医療行為(軽度の診察・緊急を要するものを除く)への同意
民事信託
財産を管理する点では、民事委託も任意後見も似ているが、民事委託は、認知力の低下に関係なく、契約で、開始する時期を決めれる。また、裁判所などの公的判断に縛られずに、契約の範囲で、自由に財産を扱うことができる。民事信託では、財産だけを管理でき、生活や健康、療養等に関する法律行為を行うことはできない。(身上看護はできない)
まとめ
後に残される人のことを考えて、管理できるモノだけを残すことを考えましょう。安心した定年後=老後を過ごすためにも、早めの準備が必要です。